買ってきたお弁当の写真を撮るとき、つくりたての温かい料理のようなシズル感(蒸気や煙など)を自然に出すのは難しいです。しかし、光の反射や配置、アングルを工夫することで、お弁当も美味しそうに見える写真を撮ることができますので、今回はその方法をお伝えします。
お弁当の歴史
日本の「弁当」の歴史は非常に長いもので、平安時代まで遡ることができます。初期の弁当は、笹や竹で食べ物を包み、旅行や外出時に携帯しやすいようにと作られた簡易な食事でした。
安土桃山時代(1573年~1603年)は、日本の弁当文化が大きく進化した時期とされています。この時代は、社会経済の変動とともに食文化も豊かになり、弁当箱として木製や漆器の箱が用いられるようになりました。
これにより、弁当が一層洗練されたものとなり、見た目にも美しい食事として楽しむことができるようになりました。(*写真は当時のものではありません)
POINT① 主役を決める
今回のお弁当のように、「ご飯」と「おかず」が分かれている場合は、まず、被写体の主役を決めて、それを手前に置いてください。自分の中で、どの料理が主役かを決めるのが大切です。
「おかず」を主役に決めたら「おかず」の「正面」を確認してください。
お造り三種盛りの記事でも紹介しましたが、日本料理の盛り付けは立体的で、その料理が一番きれいに見えるように、必ず「正面」が設定されています。
正面を確認するには、素材の向きなどを見ればわかります。
POINT② 画角を検証する
画角については、真上から俯瞰で撮ってもよいですが、真上から撮影したお弁当の写真は、どこか記録してるだけという感じが拭えません。別の画角で撮ることも検証する必要があります。
食べ物は、平面に写すより、立体的に見せる方が断然おいしく見えますので、斜めから美味しそうに見える角度を模索して画角を決めて下さい。
まずは、斜めアングルの1枚。
POINT③ 被写体に「寄る」
初心者の方は、撮影する際に被写体を全部、構図の中に入れようとします。これは、間違いではありませんが、より美味しそうな料理写真を撮るには、もう一工夫必要です。
今回の撮影において、「ご飯」をすべて構図に入れる必要性はありません。切れていても「ご飯」であることは、想像できますので、主役の「おかず」を中心に考えて、「ご飯」は、切れてもボケてもOKです。
被写体に寄って撮ってみるとこのような1枚になります。
さらに縦アングルで撮影すれば、奥行きが増して、より素敵な写真が撮れます。
弁当のシズル感を引き出すテクニック
最後に弁当などの時間が経過した料理の撮影で「シズル感」を引き出す方法を紹介します。
今回の場合は、おかずの「豆」や「椎茸」の反射光に注目してください。
食べ物の反射が「シズル感」を作り出します。今回の「豆」や「椎茸」のように反射しそうな素材があったら、それらが、より反射する角度を探ってみると、シズル感を増した写真が撮れるようになります。
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京野菜弁当の撮影テクニックについては、YouTube動画でも配信していますので、是非チェックしてみてください。